|
脱サラの店主が打つ気骨のそば。
秩父市はそば屋さんが多く、秩父そばの会という団体もあって20店舗が名を連ねている。
国道401号線を甲州側に向かって進み、秩父駅を少し過ぎたところにいんなみがあった。お店建物は落ち着きがあり、そば屋さんとしては気取らすに落ち着いて食べることが出来る空間だ。
本来だと名物女将さんがいて、そのトークを聞きに来るお客さんが多いのだという。この日は女将さんが留守で、ご主人が一人でお店を切り回していた。
そばのスタイルは基本二八の様だが、数量限定の十割そばがあったのでそちらをいただくことにした。
ちょうど12時くらいでまだお客の数も少なかったため、おそばは短時間で運ばれてきた。真ん中が盛り上がったざるに盛られていて、量はやや少なめ。このお店は天ぷらにも力を入れていて、合わせて天ざるにして量はちょうど良いというところなのだろう。
十割といっても色はそれほど濃くなく、星が飛んだような外観で、太さは中細といったところ。石挽きによる自家製粉の特徴が感じられるおそばだ。そばにとって季節的には一番厳しい時期にもかかわらず、香りも良く、歯応え、のど越しとも申し分ない。
つゆはやや甘めで、少ない量でもちゃんと徳利に入れて出してくる。私はそば屋のサービスとして、このつゆの出し方はそのお店のサービスを評価する点でとても重要だと思っている。そばちょこになみなみと入れてくるなんていうのは言語道断だ。つゆを少しだけ付けて食べる人にとって、最後につゆが残りすぎてしまい、ちょうど良い塩梅でそば湯を飲むことが出来ないからだ。
そのそば湯はまだ茹でた量が少ないためかほとんど白湯だったが、そばの香りが良いためとても美味しく、残りのつゆで割って一口、何も入れずにそば湯だけで一口、新しいつゆをそば湯で割ってと3回楽しむことができた。
また、薬味は小口切りのねぎ、おろしわさび、鬼おろしの大根だったが、わさびの香りが良いのと、鬼おろしの大根がとても良かった。
いんなみの人気の高さが実感でき、これならば他の店も期待できそうに感じた。 13.07.10.74
|
|